企業のトップは自分の後継者にどのような人間を選ぶか?この話を聞いたのは、もう30年も前のことだ。ある有名なメーカーの社長が自分の後継者を数多くいる社員の中から選ぶにあたり、3つの条件で絞っていったそうだ。1つ目として、数字に強いかどうか。様々な場面で数字に関する質問をした際、明解に応えてくれるかどうかが基準となる。2つ目は「嘘」をつくか否か。嘘も方便という言葉もあるが、肝心なところで信じられるかどうかが見られる。3つ目は、肝心なところで「逃げる人」かどうか。スッとかわして責任を逃れてしまうのか、それとも最後までやり切るかどうかが鍵となる。この中で私が一番大切だと思うのは、やはり3つ目の「逃げない」というところだ。出来れば大変な局面は出来るだけ回避したいと考えるのが人間である。しかしそこで逃げられてしまうとそれを依頼した上司も、当てにしていた部下も、会社全体が困ることになる。肝心なところで逃げてしまう人には、企業のトップでなくても、部下も上司もお客様でさえも、この人には頼みたくないなと本能的に感じてしまうだろう。来年の私の目標は「事に及んで逃げない」「最後まで全うする」にしようと思っている。そして全社員が「数字に強く」「嘘をつかない」「逃げない」という意識を持って日々努力していけば、更に強い企業になれるのではないかと思い描く。