吉田兼好が書いた徒然草の中に、仁和寺のお坊さんが石清水八幡宮を参拝した際、山麓の極楽寺と高良神社を本殿と勘違いし、山頂にある本殿を参拝せずに帰ってしまうという話がある。これは「些細なことでも、まずは先達に尋ねて導いてもらいなさい」という教訓を話しているのだが、何故、すでに参拝したことのある先達者は当のお坊さんに先に教えてあげなかったのだろうか。初めてのことが分からないのは当たり前である。まずは先達者の方こそが、初心者に寄り添わなければならないだろう。最近は会議でも、会議をするのが目的となっており課題解決が後回しになっている例をよく見かける。目的と手段が入れ替わってしまうと、初心者は最終目標を見失ってしまいがちだ。こんな時こそ先達者である部長やマネージャが主旨をきちんと説明し、道筋を正しく修正する必要がある。上司や先輩は部下や新人が新しいプロジェクトに参画する際も、どのような経験をしてもらいたいのか、どんなスキルを伸ばして欲しいのかをきちんと伝え、新人に寄り添い正しく導いてもらいたい。