自分と他人との境界線というものを頭に思い浮かべてみてほしい。イメージした境界線は何本あっただろうか。過去のトラウマに悩む人が、理学療法によって回復する過程を書いた記事を読んだ。その方は自分の意見を親から否定され続け、自分を押し殺し、発言できなくなった。友達や同僚との関係性もうまく作れず、相手の言うことを全部受け入れなければいけないと考え、とても生きづらかったそうだ。その方が理学療法を受けたときの最初のステップに「相手との境界線は何本ありますか?」という質問があった。人はそれぞれに身体的、精神的なパーソナルスペースを持っていて、その外枠は一人に一つあるので、人が二人いれば境界線は2本ということになる。相手との適切な距離感を持つためにも、まずは他者との境界線が2本あると認識することが大切だと書かれていた。社会人生活では、提案が却下されたり自分の意見が通らないことは多々あるが、それはあくまでも成果や効率を考えた上での組織の判断だったり、自分とは違う意見の方が多かったりしただけで、その人自身が否定されているわけではない。人と見解が異なるのは当然という大前提があれば、お互いを否定することなく、もう少し楽に受け止められるようになると思う。この境界線の考え方は多様性を認めるための基本であり、私はこの前提を持ちながら、これからもたくさんの人と関わっていきたい。