青年海外協力隊をご存知だろうか。この団体は発展途上国へ隊員を派遣し、現地の人々と同じ目線で課題解決に貢献する活動を行うことで国造りの手伝いをすることが主な役割となっている。私が社会人1年目のときにお世話になった先輩が実際に青年海外協力隊として幼児教育に関わる支援をしにシリアに駐在していた。言葉の壁もある中で大変なことばかりではあったが、その中で一番に気をつけていたのが、その場だけの支援ではなく、未来につながる支援になるかを考えることだったという。子どもに教育の場を提供するだけではなく、子どもと関わる大人たちが自ら考え、行動できるよう働きかけをしていかねばならないそうだ。そして隊員がいなくなった後も、自立自走できる仕組みを作り上げるまでが支援の一環であると話をしていた。日々の業務においても、答えを教えてもらったりやってもらうのは簡単なことだが、やり方を教えてもらい、できることを増やす方が本人や会社全体を成長させることに繋がるはずだ。手持ちの仕事を終わらせたいと焦る気持ちはあるが、学ぶ姿勢を意識し成長につなげていきたい。日本では飄々としたイメージの先輩だったのだが、シリアから帰ってきてからは将来への希望に満ちた目をしていたことが印象に残っている。シリアでの経験が表情を変えさせた理由の一つだろう。青年海外協力隊での活動は帰国後、再就職の面ではあまり評価の対象とはならないそうだ。強い意志と信念を持った若者たちの活動や、自ら考え行動してきた経歴が評価されることがスタンダードになってほしいと願う。