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うなぎの完全養殖

S・T(さん♂)

うなぎは昔から高価な食材だが、数が減った事で2009年には貿易に規制が掛かり、2014年には絶滅危惧種に指定された事で漁獲量は激減している。国内の供給量は2009年には10万tだったが、2020年には半分まで減っている。国産のうなぎは養殖が9割を超えるが、実は完全養殖ではない。シラスウナギと呼ばれる子供の天然うなぎを捕獲して成魚まで育てたうなぎを養殖と呼んでいるそうだ。一般的に養殖といえば、生け簀のような人工施設で卵から孵化した稚魚を成魚まで育て、その成魚が産卵するというサイクルを人工的に管理する仕組みだが、うなぎでそれを実現するのはかなり難しいようだ。うなぎのライフサイクルはかなり特殊で、日本に生息するニホンウナギの場合、日本から約6,000km離れたグアム島辺りまで行って産卵する。そして太平洋の真ん中の海底で産まれた稚魚は黒潮の海流に乗って日本の沿岸まで泳いで来る。そのような生態のうなぎを人工の施設で成魚まで育てる事は出来ても、産卵させる事ができないようだ。それでも2010年には日本の国の機関が人工の施設で、1世代のライフサイクルを回すことに世界で初めて成功させたが、この時点ではまだ成功率やコストの面で課題が残り、商業的に採用するには難しい状態だっだ。そして2021年、鹿児島の民間企業が、人工の海水を循環する仕組みを導入して2世代のライフサイクルを回し、完全養殖に成功した。2026年度を目標に年間10万尾の生産を目指しているとの事だ。完全養殖が不可能と言われたうなぎを、執念とも言える努力で実現させたのは称賛に値するだろう。うなぎの現状と今後の展開については水産庁のサイトに詳しく掲載されている。興味があれば覗いてみてはいかがだろうか。