ドイツのベンチャー企業イーザル・エアロスペース(Isar Aerospace)社が開発した新型ロケット「スペクトラム(Spectrum)」の初めての試験飛行が先月ノルウェーのアンドーヤ宇宙港で行われた。試験飛行の目的は技術的な情報と経験の収集である。スペクトラムは全長28mであり、大きめの小型ロケットと位置づけられるロケットで、最大で1tの物資を宇宙に送り込むことができるという。試験飛行の様子はYouTubeでライブ配信されていた。打ち上げのカウントダウンが1分を切ると、観ている側も緊張と興奮が高まり、打ち上げ時刻になると轟音と共に大量の煙を噴射しながらロケットが上昇していく様に人々は興奮していた。しかし、十秒後にはスペクトラムの胴体が素人目にもわかるほど揺れ、しばらくするとロケットの向きが反転し、轟音と共に海へ墜落してしまった。その後、ニュースサイトには「スペクトラム打ち上げ失敗」という記事が掲載された。これは私見であるが、試験飛行は失敗とは言えないのではないだろうか。スペクトラム本体は無人で物資も積んでいなかったため、人的な被害はない。前述の通り、試験飛行の目的は技術的な情報と経験の収集であり、墜落した結果から多くの情報と経験が得られたはずだ。このままプロジェクトを凍結すれば、それこそ失敗で終わるだろう。しかし、今回の結果を活かして次に挑戦するのであれば、失敗とは言えないのではないか。試験飛行の翌日に、最高経営責任者のダニエル・メッツラー氏は多くの情報を収集できたことから「大成功」と評価し「今回の結果を受けて我々は自信を持って2度目の飛行に臨むことができる」との声明を発表しており、まだ挑戦する意欲を見せている。失敗は成功への通過点であり、新たな挑戦への糧となる。何度失敗しても、最後に成功すれば全体として成功ではないだろうか。