「認知特性」という言葉をご存じだろうか。これは、人間が記憶する際に、頭の中で情報を理解・整理・記憶する方法を指すものであり、いわゆる暗記術とは異なる。認知特性には大きく3つのタイプがあり、何かを思い出す際に写真のように浮かぶ人は「視覚優位」、文字がそのまま浮かぶ人は「言語優位」、音や声が浮かぶ人は「聴覚優位」と分類される。私自身、最近まで記憶力に悩んでいた。きっかけは学生時代、台本を覚えて発表する機会だった。さまざまな暗記法を試したものの、全く覚えられず、友人から「内容は合っているけれど、台本とは異なっている」と言われたことが長く記憶力への自信を失う原因となった。つい先日、別の友人から「記憶力に自信がない」と相談を受けた。彼女は、一度聞いた曲をすぐに覚えて歌えるという特技があるため、私は記憶力が良いと思っていた。ところが、映画の登場人物の見分けがつかず、声を聞かないと理解できないという。そこで疑問を抱き調べた結果「認知特性」に辿り着いた。簡単な診断を試してみたところ、私は「視覚優位」の「カメラアイ」というタイプで、写真のように記憶する特性を持っていた。一方、友人は「聴覚優位」の「サウンド」というタイプで、音や声の抑揚で記憶する特性があることが分かった。私の特性では、文章の横に小さなイラストを描き、情報を写真として記憶することで、内容の理解が劇的に向上するとのアドバイスを得た。実際に試してみると、記憶力が飛躍的に向上した。もし記憶力に悩んでいる人がいれば、自分の認知特性を調べ、それに合った方法を試してみてほしい。自分に適した記憶方法を見つけることで、思わぬ成果を得られるかもしれない。